フランチャイズ契約は、開業してからでは条件を変えられません。始めるときのお金の話に意識が向きがちですが、後から効いてくるのは契約期間・解約条件・テリトリーといった項目です。この記事では、契約書と説明資料のどこを見ればよいかを、確認する順番に沿って整理します。
契約前に受け取るべき書面
- 法定開示書面:小売業・飲食業のフランチャイズは、中小小売商業振興法により、契約前に一定事項を記載した書面の交付と説明が本部に義務づけられています。加盟金の性質、ロイヤリティ、契約の期間や解除条件などが記載されます。
- フランチャイズ契約書:実際に締結する契約そのもの。開示書面と契約書で条件が食い違っていないかを突き合わせます。
- 収支モデル・事業計画の資料:本部が示す売上・利益のモデル。前提条件が明記されているかを確認します。
対象業種でない場合でも、公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」により、本部には重要事項の適切な開示が求められています。資料が出てこない、口頭でしか説明されないという状態は、それ自体が判断材料になります。
契約書で必ず確認する12項目
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 1. 加盟金の性質 | 何の対価か。返還される場合があるのか、原則返還されないのか。 |
| 2. 保証金・預託金 | 契約終了時に返還されるか。返還されない条件は何か。 |
| 3. ロイヤリティ | 算定方式(売上歩合・粗利配分・定額)と料率。何を売上とみなすか。 |
| 4. その他の継続費用 | 広告分担金、システム利用料、指定品の購入義務、研修費の追加分。 |
| 5. 契約期間 | 何年か。初期投資を回収できる長さか。 |
| 6. 更新の条件 | 自動更新か、更新料が必要か、本部が更新を拒否できる条件は何か。 |
| 7. 中途解約 | 解約できるか。違約金の算定方法と上限。 |
| 8. テリトリー | 営業地域の保護があるか。同じ商圏に別の加盟店や直営店が出る可能性。 |
| 9. 競業避止義務 | 契約中と契約終了後、同種の事業をどの範囲・どの期間できないか。 |
| 10. 仕入れの指定 | 指定業者からの仕入れが義務か。価格の決まり方。 |
| 11. 販売価格の扱い | 価格を本部が決めるのか、推奨にとどまるのか。 |
| 12. 契約終了時の義務 | 原状回復、看板・什器の撤去、リース残債の負担者。 |
特に見落としやすい3つ
テリトリーの保護がない場合の影響
営業地域の保護がない契約では、同じ商圏に別の加盟店が出店する可能性があります。本部としてはチェーン全体の店舗数を増やしたい一方、加盟店にとっては商圏の分割になります。「近隣に出店する場合の事前協議」がどう書かれているかを確認します。
契約終了後の競業避止
契約が終わった後も、一定期間・一定の範囲で同種の事業ができない条項が入っていることがあります。将来的に自分のブランドで続けたいと考えている場合は、範囲と期間を事前に把握しておく必要があります。
やめるときの総額
中途解約の違約金だけでなく、原状回復費用、設備リースの残債、在庫の買い取りまで含めた総額で見ます。始めるときの費用と同じ精度で、やめるときの費用を出しておくのが安全です。
その場でサインしない
契約書は必ず持ち帰り、内容を読む時間を取ります。分量が多く専門用語も多いので、弁護士や中小企業診断士など第三者に見てもらうと、自分では気づけない条項を指摘してもらえます。
説明会の場で「今日中に決めれば」といった条件を提示された場合は、いったん距離を置いて考えます。検討の時間を与えない相手と長期契約を結ぶ理由はありません。
フランチャイズ契約は数年単位で続く取り決めです。加盟金とロイヤリティだけでなく、期間・解約・テリトリー・競業避止の4点を必ず自分の目で確認してから判断してください。
