フランチャイズの募集要項に書かれている「開業資金」は、本部によって含まれている範囲が違います。加盟金だけを指している場合もあれば、内装や設備まで含めた総額の場合もあります。同じ条件で比べるには、費用を項目ごとに分解して並べ直す必要があります。この記事では、開業資金の内訳と、見積もりを比較するときの整理の仕方をまとめます。
開業資金は4つの層に分けて考える
- 本部に支払う費用:加盟金、保証金・預託金、研修費、開業支援費など。契約時にまとめて必要になることが多い部分です。
- 物件にかかる費用:保証金・礼金・仲介手数料・前家賃。店舗型の業態ではここが大きくなります。
- 内装・設備の費用:内装工事、厨房機器や施術機器、看板、什器、POSやシステム。業態によって最も差が出る部分です。
- 運転資金:開業後、売上が安定するまでの家賃・人件費・仕入れ・自分の生活費。ここを確保していないことが、資金計画で最も多い失敗です。
費用の内訳を項目で並べる
| 区分 | 主な項目 | 確認すること |
|---|---|---|
| 本部への支払い | 加盟金/保証金/研修費/開業支援費 | 返還されるものとされないものの区別。分割払いが可能か。 |
| 物件 | 敷金・保証金/礼金/仲介手数料/前家賃 | 物件は本部が探すのか自分で探すのか。居抜きが使えるか。 |
| 内装・設備 | 内装工事/機器/看板/什器/システム | 工事業者や機器が本部指定か。相見積もりが取れるか。リースが使えるか。 |
| 開業前後 | 初期在庫/販促費/許認可の費用/備品 | オープン時の販促は本部負担か加盟店負担か。 |
| 運転資金 | 家賃/人件費/仕入れ/自分の生活費 | 何ヶ月分を見込むか。売上が計画の7割でも回るか。 |
比較するときの3つの原則
1. 「開業資金」の定義をそろえてから比べる
A社の提示額に物件費が含まれていて、B社には含まれていないなら、そのままでは比較になりません。上の5区分の表を自分で作り、各社の見積もりをその欄に振り分けてから合計します。
2. 運転資金を初期投資と分けて確保する
自己資金の全額を初期投資に充てると、開業直後の資金繰りに余裕がなくなります。売上が計画どおりに立ち上がらない期間があることを前提に、当面の固定費と生活費を別枠で残しておきます。
3. リースと購入を分けて見る
設備をリースにすれば初期投資は抑えられますが、毎月の固定費は増え、契約終了時の残債が発生します。初期費用の少なさだけで判断せず、契約期間全体で支払う総額に直して比べます。
本部に確認したい質問
- 提示された開業資金に含まれる項目と、別途必要になる項目はそれぞれ何か。
- 加盟金と保証金のうち、契約終了時に返還されるのはどれか。
- 内装工事や設備は本部指定か。指定の場合、相見積もりは取れるか。
- 開業までにかかる期間は何ヶ月か。その間の生活費はどう見込むか。
- 運転資金として何ヶ月分を推奨しているか。その根拠は何か。
- 融資を使う場合、本部は事業計画書の作成を支援してくれるか。
資金が足りないときの選択肢
自己資金だけで足りない場合、日本政策金融公庫の創業向け融資や、自治体の制度融資を組み合わせるのが一般的です。融資を使う前提であっても、審査では自己資金の額と事業計画の妥当性が見られます。
また、初期投資が小さい業態を選び直すという判断もあります。店舗を持たない業態、既存の設備を使える業態、在宅で始められる業態なら、必要な総額そのものを下げられます。
開業資金は、本部への支払い・物件・設備・運転資金の4層に分けて、各社を同じ項目で並べると判断しやすくなります。とくに運転資金は最後に削られやすいので、最初に別枠で確保してから初期投資の上限を決めてください。
