塗装・外壁塗装の分野は、技術を身につければ店舗を持たずに独立しやすい一方、工事の金額によっては建設業の許可が関わり、受注の作り方が事業の成否を分けます。この記事では、塗装フランチャイズで開業する前に確認したい許可の考え方、受注ルート、費用の内訳、本部への質問を整理します。
塗装フランチャイズの特徴
- 店舗が不要な働き方もできる:現場に出向く仕事が中心で、事務所は自宅から始める形もあります。ただし資材・道具・車両の置き場は必要です。
- 技術の習得に時間がかかる:下地処理、養生、塗料の選定と塗り重ねの工程など、仕上がりと耐久性に直結する作業が多くあります。未経験で加盟するなら、研修の内容と期間が重要です。
- 1件ごとの金額が大きくなりやすい:その分、見積もりの誤りや施工不良のトラブルは損失も大きくなります。技術研修と施工後の保証体制は、本部を比べるときの優先度が高い項目です。
- 受注は営業力に左右される:来店客を待つ業態ではないため、仕事がどこから発生するのかを先に確認します。
建設業の許可はいつ必要になるか
塗装工事は建設業法上の「建設工事」にあたります。ただし、工事1件の請負代金が一定額未満の「軽微な建設工事」だけを請け負う場合は、建設業の許可がなくても営業できます。国土交通省の案内では、建築一式工事以外の工事(塗装工事はこちらにあたります)は、1件の請負代金が500万円未満であれば軽微な工事とされています。この金額には消費税及び地方消費税を含みます。
出典:国土交通省「建設業の許可とは」(2026年10月時点)
これは「1件あたり」の基準ですが、許可を取るかどうかは、狙う工事の規模で決まります。外壁塗装を中心に請け負う場合、住宅の規模や仕様によって、見積もりが基準に近づく案件が出てくることも考えられます。許可の要否、取得の条件、分割して契約した場合の扱いなどは、国土交通省・都道府県の建設業許可の窓口、または本部に確認してください。
仕事の発生ルート
| ルート | 特徴 | 確認すること |
|---|---|---|
| 本部からの案件紹介 | 開業直後から仕事が入りやすいが、紹介料や手数料がかかるのが一般的。 | 月に何件程度か、既存加盟店の実績ベースで聞く。エリアによる差。 |
| 元請・工務店からの下請け | 継続的な受注になりやすいが、単価は抑えられがち。 | 本部が下請け先を紹介するのか、自分で開拓するのか。 |
| 個人宅への直接営業 | 単価は取りやすいが、集客と見積もりの労力が大きい。 | 広告・Webサイトを本部が用意するか。費用負担は誰か。 |
| 地域のリフォーム・不動産会社の紹介 | 信頼関係ができると安定する。立ち上がりに時間がかかる。 | 本部の取引先を使えるか、自分で築くのか。 |
訪問販売や電話での営業を中心とする集客モデルの場合は、特定商取引法など営業方法に関する規制が関わります。本部のやり方に従うだけでよいのか、加盟店側にも責任が及ぶのかを、契約前に確認してください。
費用の内訳の考え方
金額は本部と体制で大きく変わるため、ここでは相場を示さず、どこに費用が発生するかの構造を整理します。
- 加盟時にかかるもの:加盟金、研修費、契約時の保証金など。返金条件も確認します。
- 道具・設備:足場まわりの用具、吹き付け機材、脚立、車両。購入か、リースか、本部からの貸与かで初期負担が変わります。足場は自社で持つのか、外注するのかでも大きく違います。
- 材料費:塗料は本部指定のものを購入する前提か、自由に仕入れられるか。
- 毎月の費用:ロイヤリティ(定額か売上歩合か)、広告費、保険料、車両費。
- 運転資金:材料の仕入れや外注費を先に払い、工事代金の入金が後になる期間の資金です。開業直後は工事が少なくても固定費が出ていくため、数か月分の生活費と合わせて確保します。
費用全体の見方はフランチャイズの開業資金の内訳も参考にしてください。
収益が決まる仕組み
売上は「受注件数 × 1件あたりの請負金額」で決まります。そこから材料費、外注費(足場・職人)、ロイヤリティ、広告費、車両費などが引かれます。1人で施工する場合は、自分が現場に出ている間は営業や見積もりができないため、施工と営業のどちらに時間を使うかが、月ごとの売上の波に直結します。天候により作業日が減る点も、年間を通して見ておく必要があります。
トラブルと保証のリスク
塗装は仕上がりの良し悪しが数年後に表れる仕事です。施工不良や近隣への塗料の飛散、足場からの転落など、事故やクレームの影響は小さくありません。
- 施工後の保証は本部が行うのか、加盟店が行うのか。
- 賠償責任保険や労災に相当する保険に加入できるか。費用は誰が負担するか。
- クレームが起きたとき、本部が対応を支援するか。
加盟・開業の前に確認すること
- 工事1件の想定金額は、許可が不要な範囲に収まるか。許可が必要になる場合、本部は取得を支援するか。
- 技術研修の期間と内容。未経験でどこまで現場に出られるようになるか。
- 本部からの案件紹介は月に何件程度か。紹介料や手数料は何%か。
- 案件紹介がないとき、自分で集客する手段を本部が提供するか。
- 塗料・資材は本部指定の購入が必須か。市販品との価格差。
- 足場・機材・車両は購入か、リースか、貸与か。
- ロイヤリティの方式と、売上が少ない月の負担。
- 施工後の保証と保険の責任分担。
- 同一エリアの加盟店の有無と、テリトリーの取り決め。
- 契約期間、中途解約の条件、違約金。契約の見方はフランチャイズ契約の確認ポイントで整理しています。
複数の本部の条件を同じ質問項目で比べたいときは、掲載中のフランチャイズ一覧もご覧ください。
